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撮影の出来事
2012年、4月。佐久市で完全合宿体制の撮影が始まった。期間は約一ヶ月。二階建ての一軒家に撮影隊。少し離れたところにある平家を食堂兼、俳優陣の寝床。朝起きると撮影隊は車に乗って俳優たちのいる食堂へ。そこには本作で専属シェフ+工員役で参加していた川畑和雄さんが作る朝食が出来ている。これが毎日絶品、そしてほぼ食べ放題。なかには私生活の食生活を補おうと、ここぞとばかりに胃に放り込んでる者も出たほど品目はバラエティー豊か。それに温泉地が沢山点在していて撮影が終わると全員で温泉に直行。撮影中盤くらいからは昼飯時に「今日は何処の温泉行く?」などと完全にスケジュールに組み込まれていた。美味い飯食べて、撮影して、温泉入って、詰め込んだスケジュールもないので寝れる。多分「今、幸せですか?」と聞かれてたら無意識に首を縦に振っていただろう。もちろん、ダラダラしてる訳ではなく締めるところは締めていたので撮影も順調でこういった余裕も出来たのでしょう。

最小人数のスタッフと気合いの入った俳優が集まって最高のシーンを撮影できたこの現場は誰かが「奇跡の現場だ」と言っていたのを思い出す。中でもチラシのビジュアルで使われている水澤さんと宇野さんが抱き合っているシーンは「友達なら味方になってくれよ!ひとりにしないでくれよ!」と大雨のなか仲直りするところなのだが、まず大人だったら恥ずかしくて一生言わなさそうな台詞なのにホースで雨降しをしていた撮影隊の中には雨に混じって男泣きしている者もいた。

いわゆる涙の雨降し。寝食ともにしていると現実と物語の境目が薄れてきて嫌でも俳優が実在の人物に見えてきてしまうからなのか。そんな撮影が続くと自然と団結が深まって、向かっていく方向が明確に見えていた気がします。物作りのイロハはこれなのか、とガツンと一撃で叩き込まれた感じです。そんな濃厚な撮影が終わる頃には家で独り不味そうなご飯を食べてる所を想像してゾッとしながら「ひとりにしないでくれ!」なんて心の中で呟いていました。